Horseユーザーの皆さん、こんにちは。
PCが必要だった理由
Ellyと僕は、いつも自分たちでHorseを使っています。これを「ドッグフーディング」と呼ぶのですが、犬からは正式な異議申し立てが届いています。誰も報告してくれないバグは、こうやって見つけるしかありません。メールを書くほどドラマチックではないけれど、黙ってChromeを開き直したくなる程度にはイラッとする、あの手のバグです。
2024年の初め、僕はHorseをmacOSとLinuxでテストできました。足りなかったのは、最新のWindows PCです。Windowsだけのバグが届くと、僕は虚空に向かって同情たっぷりにうなずき、バグは堂々とWindowsだけのバグのまま居座り続けました。
古代の力を手に入れる必要がありました。ファンに覆われた灼熱のテクノロジー、その名もx86_64です。
でも、全国のゲーミング祭壇でおなじみの、RGBに光り輝く巨大な金属の箱に入れて手に入れるのはお断りでした¹。必要なのは、かわいいもの。カラフルなもの。小さな陶器のブタの隣に置いても恥ずかしくないもの。
そして、いくらかの策略の末に誕生したのがOrangeboyです。ごく普通のWindowsユーザーが持っていそうな、ミドルレンジのプロセッサとロープロファイルのグラフィックカードを積んだmini-ITXのPC。気にならないくらい小さい。仕事をこなせるくらいパワフル。形もちょうどいい。
Orangeboyを組み立てる

組み立ての写真はRedditで公開しました。正直、ちょっと不安でした。なにしろ最後に自分の手でPCをいじったのは1990年代の初め。ドライバー1本と、静電気というものをまだ知らない子どもの楽観だけを手に、IBMのi386を開けたときなのです。
近所のパソコンショップは、こんな小さなケースでまともなPCが作れるはずがないと断言しました²。僕は礼儀正しく店を出て、インターネットを開き、ChatGPTを付き添い役にして作業を進めました。部品ひとつひとつが、ほら、物理的にちゃんと収まるかどうかを確かめながら³。
ケースは、平たいオレンジ色の金属板の状態で届きました。Teenage Engineeringは、それを僕が自分で折り曲げてPCケースにするものと思っているわけです。これは工業デザインの最も純粋な姿か、小さな工場で働く気分をものすごく高値で売りつける方法か、どちらかです。僕はひと目で気に入りました。
組み立ては、うまくいきました。
完成したコンピュータを片手で抱えて、あの同じ店に持っていきました。店員さんはそれをコンセントにつなぎ、起動するのを見届けると、疑いから賞賛へと一直線に移行しました。僕はそれを、小さな陶器のブタのような威厳をもって受け入れました。
構成パーツ
- ケース:Teenage Engineering Computer-1
- 電源:Cooler Master V750 SFX
- マザーボード:ASUS ROG Strix B650E-I
- プロセッサ:AMD Ryzen 5 7600
- メモリ:Corsair Vengeance DDR5、32GB
- ストレージ:Samsung 980 Pro M.2
- グラフィック:Gigabyte RTX 4060 Low Profile
もっとパワフルなコンピュータはあります。もっと小さなコンピュータもあります。船を港まで導けそうなほど虹色の光を詰め込んだコンピュータだってあります。それでもOrangeboyは、あらゆる軸でちょうど正しい位置にいるのです。
Windowsに乗り換える

macOSからWindowsに移ってみて、OSのどれほど多くの部分が意識の下で暮らしているのかを思い知りました。キーボードショートカットがCommandからControlに変わり、小指が職場に苦情を申し立てます。マウスの重さが違います。ウィンドウ管理は、建築検査官との交渉みたいに感じられます。
Microsoftの後方互換性へのこだわりにも、あらためて敬意を抱きました。とても古いプログラムが今でも動きます。とても古いインターフェースが今でも残っています。そのおかげでHorseの開発では壮大な考古学が必要になることもありますが⁴、それは同時に、何年も前に買ったソフトウェアを使い続けられるということでもあります。たとえそこへ至る道が、最後に内装を変えたのが2003年という廊下を通っていたとしても、継続性には価値があります。
本当に呪われていたのは、コード署名でした。第三者の認証会社は、実在する主権国家の公的な商業登記簿を確認する代わりに、事業所の所在地を証明するためにGoogleマップにピンを立ててほしいと言ってきたのです⁵。
ピンは立てられました。証明書は発行されました。ひとつも作り話ではありません。
Orangeboyが変えたこと
Orangeboyのおかげで、HorseはちゃんとしたWindows環境を手に入れました。違うタイトルバー、違うウィンドウの振る舞い、グラフィックまわりの癖、そしてブラウザが何十年分ものWindowsの歴史に猛スピードで突っ込んだときにだけ現れるバグを、この目で見られるようになったのです。
これが、クロスプラットフォームのソフトウェアの裏にある、地味な取引です。スクリーンショットと同情のうなずきでしか触れていないバージョンを、本気で大切にすることはできません。そこで暮らす必要があります。なんでもない火曜日に1ピクセルのぐらつきに気づいて、それが消えるまでほかのことが何も考えられなくなる必要があるのです。
Orangeboyが、それを可能にしてくれました。小さなオレンジ色のコンピュータが、ひとつのOSを丸ごと、「ユーザーがバグを報告してくる場所」から、Horseを毎日使い、テストし、改善できる場所へと変えたのです。かわいい箱ひとつが背負うには、実に見事な量の文明です。
どうしても必要だった、第二のテスト

控えめなスペックにもかかわらず、OrangeboyはBaldur’s Gate 3を、くっきりした5K・毎秒60フレームで動かしてみせました。そのほとんどは、もっとずっと高価なグラフィックカードが届いたのだとモニターに信じ込ませる、AIアップスケーリングのおかげです⁶。
見事な幻でした。もう、ほとんど未来に生きているようなものです。
Orangeboyを組み立てたことで、IKEA効果が恐ろしいほどの効率で僕に効きました。自分で組み立てたせいで、すっかり洗脳されて愛してしまったのです。法廷でOrangeboyを弁護する覚悟があります。Orangeboyのためなら死ねます。どれも目的ではありませんでしたが、望むところです。
目的は、HorseのためのちゃんとしたWindowsテストマシンでした。それは手に入りました。おまけに、棚の上に座って、お父さんが何かを直し忘れるたびに光る、小さなオレンジ色の息子まで。
これだから、ものづくりはやめられません。
それでは、またトレイルでお会いしましょう。
Pascal
Notes & references
- 「RGBファンを12個積んだNZXT H7 Flowはご検討なさいましたか?」しました。いりません。お引き取りください。⤴
- 「そんな小さなケースでまともなPCなんて無理ですよ!そんな小さいファン、売ってすらいませんから!」⤴
- 聞くところによると、これはPCの組み立て方としてはかなりダサいそうです。気にしません。⤴
- Windowsがアプリに伝えるサイズを変えてしまう、古いウィンドウサイズのオフセットに出くわしました。誰かが、ある決断を下したのです。何十年たっても、その決断はまだ部屋の中に居座っていました。⤴
- ピンがありました。Googleマップがありました。そして、画面を見つめながら、政府はGoogleのクチコミに取って代わられたのだろうかと考え込む時間がありました。⤴
- RTX 4060 Low Profileは、まともに考えれば、5Kで60フレームを出せるカードではありません。DLSSが、不誠実で、美しい仕事をしてくれたのです。⤴
